睡眠導入薬 -オレキシン受容体拮抗薬‐
睡眠障害に用いられる睡眠導入薬にはいろいろな種類があります。代表的なものとしては、ベンゾジアゼピン系の薬剤(代表的なものとしてハルシオンやレンドルミンなど)、ベンゾジアゼピン系を改良したZ系薬剤(代表的なものはマイスリー、アモバンなど)などがあげられます。これらの薬は歴史が長く、これまで頻用されて来ましたが、薬剤耐性や依存性の獲得、離脱症状、せん妄、転倒リスクの増加、などの問題や、認知機能への影響(議論があるかと思います)も指摘されるようになり、最近では処方されることが減りました。代わりに、近年睡眠導入薬として処方されることが増えたのは『オレキシン受容体拮抗薬』です。オレキシンは覚醒を維持するために必要なホルモンであり、オレキシン受容体拮抗薬は、その働きを阻害することによって睡眠へ導く薬です。薬剤耐性や依存性の獲得、離脱症状が極めて少なく、自然な睡眠に近い、翌朝の眠気(持ち越し効果)が少ない、などの利点があり、2014年にベルソムラが世界で初めて発売されてから、瞬く間に睡眠導入薬の主役になりました。当院でも新規で睡眠導入薬を処方する場合は、ほぼオレキシン受容体拮抗薬を処方しています。国内で販売されているオレキシン受容体拮抗薬は以下の4種類です。
| 製剤名 | 商品名 | Tmax(時間) | T1/2(時間) |
| レンボキサント | デエビゴ | 1.5 | 50 |
| スポレキサント | ベルソムラ | 1.5 | 10 |
| ダリドレキサント | クービビック | 1 | 6~8 |
| ボルノレキサント | ボルズィ | 0.5 | 2~3 |
Tmaxは薬を内服してから血中濃度が最大に達するまでの時間で、Tmaxが短いほど効き始めるのが速い。T1/2はTmaxから血中濃度が半減するまでの時間で、T1/2が短いほど効き目がなくなるのが速い、ということになります。一般的に、入眠障害に対してはTmaxとT1/2が短い薬を、中途覚醒に対してはT1/2が長い薬の選択になると思います。
その他の睡眠導入薬には、メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン)、抗うつ薬(トラゾドンなど)、抗ヒスタミン薬(花粉症などのアレルギーに使用する薬、市販の睡眠薬に多い)などがあります。主治医と相談して、病状に合った薬を見つけることが重要です。
