認知症予防2
2024年、有名な医学雑誌『The Lancet』の「認知症予防・介入・ケアに関する委員会(Lancet Commission)」の最新報告書が発表されました。この報告書では、認知症の危険因子として新たに「未治療の視力低下」と「高LDLコレステロール値」が追加され、これまでの12個の危険因子に加えて、合計14の危険因子が特定されました。これらの危険因子に対処することで、認知症の発症を最大45%まで予防または遅らせる可能性があるとのことです。報告書では、ライフステージに合わせた介入の重要性を強調しており、特に成年期の健康管理が将来的な認知症リスクを減らすことが明らかになっています。カッコ内の数字は各因子が認知症の予防に寄与する%です。
幼少期(0-18歳):教育水準の低さ(5%)
成年期(18~65歳):高LDLコレステロール血症(7%)、聴力低下(7%)、うつ病(3%)、外傷性脳損傷(3%)、高血圧(2%)、糖尿病(2%)、喫煙(2%)、身体活動低下(2%)、肥満(1%)、過度の飲酒(1%)
老年期(65歳以上):視力低下(5%)、社会的な孤立(3%)、公害(air pollution)(2%)
上記危険因子にしっかりと対処することで認知症の発症が半数近くの方で防げるとのことで、中でも高LDLコレステロール血症は70mg/dl未満にコントロールすることで、予防効果を示すようです。危険因子のうちの5項目(高LDLコレステロール血症、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満)は、動脈硬化の危険因子でもありますから、動脈硬化を予防することで、脳卒中や心臓病だけでなく、認知症も予防できるということですね。