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認知症予防=ボーっとしていてはダメ!

[2025.03.27]

『ボーっと生きてんじゃねーよ!』

NHKの番組『チコちゃんに叱られる!』での決めゼリフです。五歳児チコちゃんの素朴な疑問→答えられない大人→「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんが一喝。こういったシュールな展開が人気となっています。

「ボーっとしている」状態 (=思考はストップしていて、どこにも注意が向いてない安静状態) の時、脳は活動を止めている、あるいはほとんど働いてないのではないか、と何となく思ってしまいがちですが、実はこの状態の時に脳が消費するエネルギーは、脳の総エネルギー消費量のなんと約70%にのぼることがわかりました。この「ボーっとしている」状態で働いている部位には相互連絡があり、デフォルトモードネットワーク(DMN)という神経回路(内側前頭前野と後帯状皮質、楔前部、などを中心とした脳の領域)を作っています。

DMNは、「ボーっとしている」状態の時に活動していますが、脳が主体的に物事を考え、情報処理や判断を行う働き(タスクポジティブな状態)をしていると活動が低下することがわかっています。DMNの働きは、自動車が信号などで停止しても、いつでも再発進出来るようエンジンを低速回転でアイドリングさせている状態と似ていると言われています。DMNは様々な脳内ネットワークの活動を統括して、アイドリング状態を保ち、いつでも脳が活動出来るようにするために重要な役割を果たしていると考えられています。

興味深いことに、DMNの領域は、アルツハイマー型認知症で最初に活動が低下する脳の領域とほぼ一致することもわかっています。車におけるアイドリング機能のデメリットは、燃費が悪くなる、排気ガスの量が増える、などですが、最大のメリットはエンジンやバッテリーの消耗・劣化をおさえて寿命を延ばす、ことのようです。でもアイドリングだけだと、エンジンの寿命は延びても、その機能は落ちてしまいます。人間の脳と車のエンジンを同列に語るのは暴論かもしれませんが、おそらくDMNを使いすぎる(「ボーっとしている」状態を長くたもつ)と脳そのものの機能が、やはり落ちるのではないでしょうか。なるべくボーっとしないようにすることが、脳のエネルギー消費を結果的に抑えて認知症の予防につながる可能性がある、というお話しでした。

ということで、『ボーっと生きてんじゃねーよ!』です。

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