顔がピクピクする
『顔がピクピクする』との訴えで受診する方がおられます。眼瞼痙攣や顔面ミオキミアなど、原因となる病気はいろいろと考えられますが、『顔がピクピクする』原因として当院で最も多いのは〈片側顔面痙攣〉です。
片側顔面痙攣は40〜70代の女性に多く見られる病気です。顔面痙攣の特徴的な経過(眼の周囲、特に下まぶた、からピクピクがはじまり、数カ月から数年の経過で頬→口の周囲へピクつきが広がっていく)がわかれば、診断は容易です。片側顔面痙攣の原因は、脳幹から顔面神経が出てくるところで脳血管による圧迫を受けるためにおこる、ことがほとんどですが、まれに腫瘍や血管奇形、動脈瘤などによる顔面神経の圧迫や中耳炎などの炎症が原因になることもあるため、頭部MRIによる診断と確認は必要です。
診断がついたら、患者さん本人と相談し、治療するかどうかを決めます。生死にかかわる病気ではないので、患者さんの希望がだいじだと思います。治療法は、①薬物療法、②ボトックス(ボツリヌス毒素)療法、③手術、の三つ。①薬物療法は、効果のある薬があまりなく、ほとんどおこなわれませんし、おすすめではないです。現時点での第一選択は、②のボトックス療法です。少量のボトックス(ボツリヌス毒素)を痙攣している筋肉(眼輪筋、頬骨筋、口輪筋など)に注射して痙攣をおさえます。ボツリヌス毒素の効果は3か月ほどでなくなるため、3か月おきに注射を繰り返す必要があります。まずボトックス療法をおこなって症状が改善した後、若年の方を中心に手術を考える方が多いように思います。③手術は、開頭による顕微鏡手術で、顔面神経から圧迫している血管を引き離す処置をおこないます。熟練した脳外科医がおこなえば、90%程度の方で症状が消失するので、若年の方や注射を繰り返すのを好まない方にはおすすめです。手術についての詳しい情報は、日本脳神経外科学会の脳神経外科疾患情報ページをご覧ください。
なかまクリニックでは片側顔面痙攣の診断からボトックス療法までおこなっていますので、顔面のピクピクでお悩みの方は受診をおすすめします。また、手術をご希望の方には多数の手術をおこなっている病院をご紹介しています。