風邪と頭痛
風邪をひくと約60%の方に頭痛が見られます。風邪による頭痛が起こるメカニズムには次のようなものがあります。①副鼻腔粘膜の炎症による頭痛、②咳による頭痛、③脱水による頭痛、④睡眠不足による頭痛、⑤感染に伴う免疫反応に伴う頭痛、などです。
メカニズムが良く分かっており、重要な原因の一つと考えられているのは①の副鼻腔粘膜の炎症による頭痛で、(ウイルスが鼻腔、副鼻腔粘膜に付着)→(ウイルス排除のため鼻腔、副鼻腔粘膜からの粘液分泌増加)→(同粘膜の炎症と腫脹)→(粘液の通過障害による副鼻腔内圧上昇)の順で起こり、結果として頭痛となるというものです。副鼻腔粘膜の炎症や副鼻腔内圧上昇にて三叉神経が刺激されると、さらに強い頭痛となります。
ただし、風邪ひいた時の頭痛というのは、発熱や食欲、意欲低下をともなった体全体のなんとも言えないけだるい感じとともに、頭全体がボーっとした痛みになることが多いように思います。こういった頭痛は多発性硬化症や肝炎の治療で、サイトカインの一種であるインターフェロンを投与した時の副作用として見られる頭痛と非常によく似ています。ということで、実際に風邪を引いたときに感じる頭痛は、⑤の感染による免疫反応(マクロファージや白血球由来の種々のサイトカインによる)にともなった頭痛、が多いと思われます。なぜサイトカインが頭痛を引き起こすかについて、実はまだ不明な点が多いようです。
以上、風邪と頭痛について調べてみました。風邪によるポピュラーな症状である頭痛ですが、その発生機序について分からないことが多い、のは驚きですね。風邪による頭痛の治療は、上述した5つの機序への対処なので、十分な休養と水分摂取が重要です。薬剤は市販の総合感冒薬で十分ですが、頭痛が1週間以上続く場合は、急性副鼻腔炎や髄膜炎の併発が心配なので、医療機関への受診をおすすめします。