“頭が爆発する”頭内爆発音症候群
🤯頭の中で突然ドカーンと爆発音がする頭内爆発音症候群。英語ではExploding head syndrome (EHS) です。Exploding headは直訳すると“爆発する頭”ですが、確かに『爆発する頭症候群』の方が実際の訴えをイメージしやすく、インパクトも強い気がします。EHSは、寝入りばなや夜中(おそらく睡眠深度が浅い時)に突然大きな音がして目覚める、というもので痛みを伴わないことが診断基準の一つになっています。まれな疾患ということになっていますが、今年の夏から半年ほどの間に立て続けに3人ほど受診されたので、すごくまれな病態ではないかもしれません。EHSは睡眠時随伴症(パラソムニア)の一つであり、10代から老年期の女性に多くみられるようです。原因ははっきりしていませんが、①睡眠時 (寝入りばな) における脳幹網様体の活動低下の遅れ、②耳管機能異常などの耳科的問題、③てんかん (複雑部分発作) の症状、④片頭痛の前兆、などが報告されています。これらの要因に精神的ストレスが加わることで、EHSが起こりやすくなるようです。当院で経験した3人はいずれも女性であり、①の要因が疑わしいと思っています。①から④の原因にはあげられてないですが、実際に「頭の中でいきなり大きな音がします」と言われたら、まずはくも膜下出血や脳出血など、脳血管の病気を疑って頭部MRIとMRAを撮影します。画像的に問題なければ、前述の②~④を否定した上で対応を考えることになります。予後(病気の見通し)は良好であり、支持的な経過観察のみで、徐々に頻度が減ってなくなるとの報告が多いようです。当院ではよほど不安が強くなければ内服処方は行わず、経過をみるだけにしています。今のところ大きな問題はないようです。