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疾病負荷(Burdan of disease)

[2024.05.24]

最近、疾病負荷(burden of disease )という言葉を目にすることが増えました。疾病負荷とは、集団における人の健康状態を評価する時に、平均寿命だけでは評価しきれない、疾病や障害による程度や負担などを考慮したものです。

疾病負荷を数値化した指標として『DALYs』があります。DALYsとは、理想的な平均余命から早期死亡によって失われる年数『損失生存年数(YLLs: years of life lost)』と、健康を損なった状態で過ごす年数『障害生存年数(YLDs: years lived with disability)』を足したもので、理想的な平均余命から、いわゆる早逝や障害など疾病の影響で減ってしまった年数を表します。DALYsをもとに、WHOが主導した世界中の健康の増減を定量化する世界疾病負荷調査(GBD: global burden of disease study)が実施されてきました。最近発表された、GBD2021の最新調査結果によると、2021年のDALYsの原因トップ3は、新型コロナウイルス、虚血性心疾患、新生児障害でした。2021年のDALYsの31.8%はYLDsによるものであり、YLDsの原因のトップ 3 は、腰痛、うつ病、頭痛障害でした。

医療がはたす重要な役割の一つに、疾病負荷(=DALYs)を減らす=健康寿命をのばす、ことがあると思います。今回疾病負荷について調べた中で、脳卒中や認知症だけではなく、腰痛や頭痛などのありふれた病態が、疾病負荷の主要な原因の一つであることを知り、開業医として身がひきしまる思いです。

このあいだ、世良田東照宮(写真)にお詣りしてきました。「人の一生は重荷を負て遠き道をゆくがごとし いそぐべからず」徳川家康公の遺訓ですが、没後400年を経て平均寿命が飛躍的に伸びた現代、病気による重荷はなるべくおろして、健康に寿命を全うしたいものです。

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